これまでに、バロックピッチの笛も含めて10本以上の笛を購入していますが、ここしばらく参考にしている楽器の選び方について、ある本からの引用を載せてみます。

楽器の選び方などはそこら中で侃々諤々 (かんかんがくがく)の議論があることでしょうね。
ブランデンブルク協奏曲の何番だかを吹いてみればその笛の善し悪しがわかるというのをどこかで読んだことがありますが、ブランデンブルクのリコーダーパートを吹くことができる人は相当吹ける人だと思いますので、一般的な愛好家(中級レベルまで)の人にはあまり参考にならないような・・・

その本というのは、数十年前、私が学生の頃に購入した本です。しばらく前にAmazon.co.jp で古本を見たことがあります。

その本は、「リコーダーのテクニック A.ロウランド・ジォーンズ著(ジォなんて書き方、時代を感じますね)、西岡信雄訳(音楽の友社、昭和51年3月10日第6刷)といいます。

リコーダーのテクニック



当時、リコーダーを誰に習っているわけでも、グループに入っているわけでもなく、一人で遊んでいた私にとって、リコーダーについて詳しく書かれたこの本はとても貴重でした。
楽器選びについては誰もが悩んでいるにもかかわらず、具体的にどういうことを確認して選ぶのかを書いてあるものはあまり見たことがないので、専門家でない人にはとてもありがたい説明のように思います。
やり方自体は比較的わかりやすいと思います。

下に書いたことがフェアなど人であふれかえっている?所でどこまでできるかわかりませんが、今後のご参考ということで。今お持ちの楽器で試してみてもいいかもしれませんね。

===ここから本の内容を抜粋、簡略記載===

あるだけの楽器を並べて次の点についてテストしてみるように書かれています。

1 音色:アルトリコーダーの場合低いドから上のドまで(ソプラノだとソ~ソまで)吹いてみて、自分の思うような音が出なければ、まずその楽器は選外である。ただ自分の演奏技術が未熟な場合はそのことも考慮に入れること。

2 イントネーション:各オクターブについて、イントネーションをテストすること。
まず、ファとファ、ラとラ、ドとド及びレとレのオクターブが正確かどうか確認し、次に音の幅に注意しながらヘ長調(
1つ、最低音のファから始まる音階)の音階をテストする。
特に最低音のファは音程が外れやすいので注意が必要。
さらに、ド#、レ#、ミ、ファ#、ソ#の間でそれぞれの音程の幅を調べることも忘れないこと。
特に、最後にあげたファ#、ソ#の長2度が広すぎないように注意すること。

注) この本での「イントネーション」の意味について次のような説明があります。
イントネーションという語は、これと非常に近い意味を持つ ピッチという語と混用されやすい。 日本語ではいずれも「音程」ということになり、教科書等でも混用されている例が多い。

しかし、ピッチとは本来奏者の演奏いかんにかかわらず楽器そのものに既に与えられている調律音程であって、そのよしあしは奏者の技術に関係ない要素である。
これに対し、イントネーションとは、ある ピッチを持った楽器が、あるひとによって演奏されたときの音程であり、そのよしあしはすべて奏者の責任である。

わかりやすくするために極端な言い方をすれば、わるい ピッチの楽器でよい イントネーションの演奏が可能であり、また逆に正しいピッチの楽器でありながらその演奏は イントネーションがわるいということがありうる。

以上のような使い分けをすれば、鍵盤楽器についてはこの イントネーションという問題は存在しない。

3 鳴りの速さ:ド#を連続した早いスタッカートで吹いてみるとその楽器の鳴りのよしあしがわかる。息がリコーダーの中に入った瞬間すぐに響きのある音が出るかどうかで、これには多少タンギングをやわらかくしてやる必要があるかもしれない。シのような フォークドフィンガリング(クロスフィンガリング)の音について特に反応の速さを調べておく必要がある。
同じことは低音域の例えばファや、高音域のミ、ファ、ソといった音についても確認すること。

4 音量:ファ、ド、ドの3つの音を使って、音が割れるまで吹き、どこまで正しい音でクレッシェンドできるかを試すこと。

5 替え指:ソ、ミ、レの替え指 (例えば、ソ123 456734  注;これらの指使いはtomoが補足、原典には記載なし、以下同じ)、ミ(0230234)、レ(023 45))について、イントネーションと音色にひどい欠陥がないか調べること。

6 楽器本体の欠陥:楽器にひびが入っていないか、ウィンドウェイやホール近辺で表面に傷や
木のトゲがないか、ジョイントがスムーズに動いてしかもしっくりあっているかなどを調べておくこと。

===ここまで===

いかがでしょうか。機会があれば試してみていただけるといいですね。

先生が選ばれた楽器を購入するとか、先生や先輩に楽器選びに同行していただけると心強いですが、そんなときでも、
先生や先輩がいいという楽器がその人にも一番いい楽器かどうかはわからない、ということを忘れないでください。

息の強さやタンギングその他もろもろ、先生や先輩とは違う人が吹くのですから、適した楽器も違って当然です
先生が吹いたら一番いいけど、本人が吹くと一番吹きにくい楽器ということがありえます。
できればですが、先生に何本か候補を選んでいただいて、その中から最後は自分で吹いていいと思った楽器に決めるというのが一番いいように思います


 
 
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