ずいぶん長くブログを書いていませんでした。

あと3ヵ月ほどで定年退職になります。
今いる会社の再雇用もあるのですが、いま再就職のための職探しや面接を受けています。
また、娘が下宿をすることになり、その引っ越し準備もあって忙しくしています。
もうしばらく、ブログを書くのも遅くなるかもしれません。


さて、薬業界の日刊新聞の2月24日の記事です。

2月22日放送の「ガッテン!」で、不眠治療薬の「オレキシン受容体拮抗薬」が糖尿病患者の「血糖値を下げる」「発症予防になる」と放送されたことで、興味を持った患者さんが薬局や医療機関に押しかける騒動が起きているそうです。
テレビをご覧になった方もおられるかもしれませんね。

 

同剤の使用で、熟睡時に出る脳波「デルタ波」の量を増やし、結果として血糖改善効果につながることを専門医が解説されたそうです。

しかし、上記の不眠治療薬を糖尿病の適応で処方するのは当然「適応外使用」(効能に書かれていない疾患に使用すること)となるほか、番組内で「新薬だから安全性が高い」といった発言があったらしく、医師、薬剤師等の医療関係者が問題視してネット上で反論する事態になっているとのこと。

 

医師の間で、まだ効能が認められていない使い方をする「適応外使用」はそれほどまれなことではなく、その後論文などが出されて多くの医師がその使い方をするようになると、臨床試験を行って申請し、効能を追加するということはよくあります。

ただ、医薬品の効能を追加するための手続きが行われていないものを、テレビ等で広めてしまうのはいかがなものかと思います。個人的には「デルタ波うんぬん」というのはあまり信用できません。

また「新薬だから安全」というのはまったく根拠がなく、一定数の重篤な副作用が報告されているとのこと。それだけに、番組内容が「あまりにも安易。患者をよからぬ方向に誘導しかねない」「誇張が著しい」と医療関係者の不評を買っているそうです。

 

テレビを見た糖尿病患者から薬局に「NHKで紹介していた薬を飲んでみたい」との申し出もあるようで、薬剤師としては適応外使用となることもあり、「主治医に相談を」と対応したようです。

この薬のメーカーは番組内容に関与しておらず、糖尿病治療薬ではないため、医師に相談をとコメントしているとのこと。

 

食品ではテレビで「健康によい」と放送されると、スーパーからその食品が消えるという現象はよくあることだと思います。
「ガッテン!」は私も結構見たりしますが、薬は作用が強いものなので、適応外使用はあまり安易に考えない方がいいですね。

(tomo)