ノンレガート、レガート、スタッカートなどの奏法、タンギングについてですが、
「これで納得! よくわかる音楽用語のはなし―イタリアの日常会話から学ぶ」での日常的な意味の説明の前に、それぞれの違いをざっと見ておいた方がいいかなと思います。
ざっとといっても、読んだだけではなかなかわかりづらい面もあるのですが。

私は、個人レッスンなどを受ける前にずっとリコーダーオーケストラにいて、バスを多く吹いていましたので、どちらかといえば音を短めに吹く方かなと思います。
大勢の合奏では、音の長さ目一杯に伸ばすと、他の音、他のパートと重なって音がにごりやすくなるとか、バスパートではリズムをはっきりさせるために短めに演奏することが多かったためです。

だいぶ前に、田中せい子先生のセミナーを受けたとき、先生の演奏されるのを聴いて、ずいぶん自分より長く、当時の私には音をとても引きずるような演奏の仕方に感じました。
また、ソロソナタのレッスンで、初めてポルタートという言葉を知りましたが、先生は、リコーダーではポルタートが一番普通の吹き方だよ、と言われているように感じました。
今でも、他の人よりは短めなのかとも思いますが、以前よりは長い短いを意識しながら吹くようになったと思います。


以下に楽譜を表示しましたが、ちょっと見づらくなっています。ご容赦ください。
楽譜部分は、田中せい子先生の 「リコーダーのタンギング」~生き生きとしたアーティキュレーションのために(アントレ編集部、1998.8 から引用させていただきました。

★ ノンレガート Nonlegato
イタリア語で、「つながらない」という意味。音を次の音とはっきり区切るために、各音を音価めいっぱいには伸ばさないで、楽譜に書き表せないほどごくわずかに早めに切り上げ、次の音の発音準備を行う(音の長さはポルタートよりやや短く、スタッカートよりかなり長くなる)。

                            音楽用語1ノンレガート

★ レガート Legato
イタリア語で、「つながった」という意味。通常スラーを用いて表される。
スラーを用いたレガートの場合、スラーの弧線のある最初の音でタンギングし、弧線のかかった最後の音まで舌を使わず、その次の音で再びタンギングする。
また、スラーを用いずにごくやわらかなタンギングで奏する際にも「レガート」と表現されることが多く、その場合は、この語は「ポルタート」と同じ意味で使われている。

                           音楽用語2レガート
★ ポルタート Portato
イタリア語で、「運ばれた」という意味。
常にやわらかいタンギングを使いながら、なるべくレガートに近い(スラーのかかったような)演奏で、音を次の音へと「運ぶ」。この場合、音価をめいっぱい伸ばすために、音を区切るための舌先の動きはすばやく瞬間的に、息の流れを妨げないようになされなければならない。
                              音楽用語3ポルタート

★ スタッカート
 Staccato
イタリア語で、「切り離された」という意味。
音を出した瞬間に、すばやく舌先を元の位置に戻すことによって息の流れを遮断し、音を止める。
一つ一つの音は短く、弾みのあるものとなる。

                               音楽用語4スタッカート

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ここで、わかりにくいのはやはりポルタート。
辞書とかネットでは、「メゾスタッカート」と理解されている場合もあるらしく、スタッカートとレガートの中間で音を適度に切るとか、スラーで結合された2つ以上の音符を明らかに区切って奏すること、などの説明もありました。
でも田中先生のお話では、ポルタートはスラーとは特に関係ない話だと私は思っています。
ポルタメントportament と混同する人はあまりいないでしょうか?


  

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