tomoは、製薬企業に勤める薬剤師です。医薬品の業界紙などを日々読んでいるので、薬や健康関係で気になることについて、ときどき書いていこうと思っています。


今日は、このところ週刊誌で話題になっている 「危ない薬」についてのお話です。

週刊現代の6月以降の10号連続で「飲み続けてはいけない薬」とか「断った方がよい薬」といったタイトルで、副作用を強調した記事が掲載されていることについて、薬業界の中心的新聞である「日刊薬業」紙の815日号において、「空騒ぎ」と日本医師会も苦言を呈しているという記事が掲載されました。


週刊現代の記事で取り上げられている薬剤は、降圧剤や糖尿病治療薬、高コレステロール血症治療薬など生活習慣病領域のものから、抗菌薬、高認知症薬、解熱鎮痛薬など様々なものとのこと。

「○○○という薬剤には××という副作用があり、△△という事例が報告されている」といった、医薬品では当たり前の副作用だけを強調した記事が多く、厚生労働省の薬系技官も「全て既知(すでに知られているという意味)の情報で新しい話は何もない。医師は当然知っていて、そうした情報をかみ砕いて患者に情報提供しているのが当たり前の内容ばかり」と語っているとのこと。

例えば「過剰投薬はいけません」という指摘があるがそもそも当たり前のこと。

つまり、1つ1つの記事の内容には正しい点も多いが、既知の話を、あたかも隠されていた“新事実”のように書き連ね患者の不安をあおっている、また、まれな事例を強調したものが多い、との指摘もあるらしいですね。

患者さんは自分が使っている薬が「危ない」と言われれば不安になって当たり前でしょうが、雑誌を売らんがために不安をあおるというのはどうでしょうか?

生活習慣病領域の薬などでは、その薬によってひどいことが起こらないよう予防しているというものも多いため、大した症状がないからやめてもいいだろうと、患者さんが独断で薬を止めてしまうと非常に危険なことが起こりかねません。

日本医師会では、関係学会が学問的なコメントを出すかどうかを検討している状況があると話しているとのこと。

患者さんは、自分の薬に不安を感じたら、医師や薬剤師にそのことを訊ねてみられればと思います。

いま、「かかりつけ医」や「かかりつけ薬剤師」としての機能を推し進めようとする動きが活発で、患者さんからの相談には真摯に対応してくれる方向に向かいつつあります。

すぐに相談するのはしきいが高いようなら、調剤薬局で購入する薬(医療用医薬品)やドラッグストアなどで購入できる薬(一般用医薬品)の添付文書(効能・効果や用法・用量、副作用や使用上の注意が書かれた文書)を見ることができるサイトがありますので、ご紹介しておきます。

医薬品医療機器総合機構(PMDA)という機関で、厚生労働省からの委託を受けて、新薬の審査や副作用の調査、副作用被害の救済などを行っているところのホームページです。
成分名や商品名などで検索できます。


週刊誌などを読まれて不安に思われたら、それらの添付文書をご覧になるのも、情報を得る一手段かと思います。
週刊誌で書かれているような内容が既に記載され、医師、薬剤師がそれを理解したうえで処方されているということがおわかりになるのではないでしょうか。

ただ、添付文書、特に医療用医薬品の添付文書は医師・薬剤師向けで、専門用語などが使われている場合も多いため、言葉の意味が分からなければ、勝手に判断されずに、記載内容について医師・薬剤師にお訊ねになった方がいいですね。



<添付文書で薬の情報を調べる方法>
  成分名や商品名などで検索できます。


 (1ドラッグストアで買える薬
      (一般用医薬品 or 大衆薬(OTC)といいます)

      https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/otcSearch/

       このページで、ドラッグストアで買える薬に入っている添付文書を見ることができます。

 (2病院で処方箋を出してもらって調剤薬局で買う薬
      (医療用医薬品処方箋薬といいます
      https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuSearch/

       このページで、処方箋により購入する医薬品の添付文書を見ることができます。


 

(tomo)