先日の薬業界の新聞に、2016年度の大学入試で、薬科大学・薬学部の志願者数が2年連続で減少したこと、16年度は前年度に比べ12,000人近く減り、113000人余りということが載っていました。

薬科大・薬学部の人気は景気動向に左右されやすいと言われているそうです。もっとも、景気が悪くなると就職しやすい資格系の学部の人気が高まり、景気がよくなると下がるのだとか。

薬学の場合、今は医学部や獣医学部と同じ6年制なので、卒業のころの景気がどうなっているかわからないのですけど。

この記事で私がもっと気になったのは、薬剤師国家試験の合格率です。

今年の合格率は76.85%で、回復したそうですが、一昨年は60.84%、昨年も63.17%と2年連続で低迷していたとのこと。

長期的には国試合格率の全国平均は70%~80%あたりを動いているという印象でしょうか。
私が受験した30年余り前でも全国平均で70%強、私が卒業した関西の私立薬科大学で80数%くらいだったように思います。


5年から10年前位に薬科大学・薬学部が乱立する時期があって、学生の質を心配されたことがありました。ここ数年、その結果が出ているということのようです。



以前に別の記事を読んでいて、ちょっとひどいなぁと思ったのが、大学が公表する国試合格率のごまかし。

特に新しい大学、学部では、後の入学志願者を増やすために、国試合格率ができるだけ高いことが望ましく売りになるわけですが、合格率をあげるため、各学年の進級時や、卒業試験において、国試に合格しそうにない人はふるい落として進級、卒業させないということが当たり前に行われているようです。


例えばですが(数値はわかりやすいように設定)

  入学者(学年あたり)       300人

  国試出願者(出願は卒業前)  200人
  卒業者(実際の国師受験者)  100人
  合格者                  70人

これで、国試合格率は、70%と発表するわけです。
しかしながら、実際その大学に入学した人が6年後に薬剤師国家試験に合格するのは300人中70人23.3%で、4人に1人しか合格できないということです。
国試合格率70%という大学を選んで入学しても、実際は4人に1人しか薬剤師になれない、という実態!
 

出願者数と実際の受験者数が大きく違ったことから、こういった実態が判明したようです。
古くからある大学では、このような操作はあまり行われておらず、やはり多くは新設校のようですが、薬剤師への夢を抱いて入学した学生たちが、この実態を知って愕然とするであろうことが残念です。

しかし、そういう実態が明らかになって、合格率の示し方等について検討されているそうですの期待しましょう。



別の資格ですが、私は「第1種放射線取扱主任者」の資格も取りました。

原発、医療機関その他の放射性物質を取り扱う施設での管理者にもなれる資格ですが、この合格率は、20%程度でした。

ものすごく難関のように見えますが、この試験は受験資格のしばりがありません。薬剤師国家試験は、薬学部を卒業して初めて受験資格ができるのですが、こちらは高校在学生でも受験はできることになっています。

ですから、受験する人には現に働いていて十分勉強できていない人なども多く、本気で勉強して受験した人の合格率は50%くらいではないかと言われていました。

20%の2倍の40%くらいの受験者が一所懸命勉強していたが、残り60%の人は受けるだけ受けてみようというレベルの人も多かったのかもしれません。



このように、資格取得のための試験の合格率には、表向きに宣伝されている数字とは全く異なる場合もありうるということで、資格取得を売りにしている大学、専門学校などは似たような状況があるのかもしれません。

学校は慎重に選びたいね、というお話でした。


 

tomo