tomoさんの趣味悠々

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表情

音楽用語(表情) (18) Grave

音楽辞典などでは「速度表示」として取り扱われ、「非常に遅く」と書かれているものも多い Grave ですが、「これで納得! よくわかる音楽用語のはなし・・・」では表情を表す用語として扱われています。
さて、どういう表情なのでしょうか。


体の調子が悪くて病院へ行くと、即そのまま入院。医者から呼び出されて説明を受けると、「・・・言いにくいのですが、大変深刻な状況です。あなたは重態グラーヴェです・・・」と宣告される。
こんなときサッと血の気がひき地獄に真っ逆さま、深い谷底に落ち込みます。
このように深刻で自分では解決できないような重大な状況がグラーヴェです。

ただ物体が重い、頭が重いという程度の重さを意味するのではありません。重態で重大な状態へ深く落ちた精神状態を指すのです。
追い詰められた精神的な危機感、とりかえしのつかない間違いを犯した深刻さなどなど、とにかく重苦しい精神的雰囲気に包まれる、それがグラーヴェです。

こうした <きわめて深刻な状況> を音楽に当てはめれば、いうまでもなくかなり遅いテンポを設定することになるかもしれません。

でも遅くなるのはあくまでも結果論。もともとグラーヴェには遅いという意味はありません。
重々しく深刻なトラブルが起きた精神的状況、心もちがこの荘重なテンポ感を生み出しているのです。


 「これで納得! よくわかる音楽用語のはなし―イタリアの日常会話から学ぶ」
     関 孝弘, ラーゴ・マリアンジェラ (全音楽譜出版社)  からの抜粋、要約

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音楽用語(表情) (9) Capriccioso

Capriccioso 気ままに

楽譜でよくみるのは、
Capriccioでしょうか。ギースベルトの教則本の最後の15曲の中にも2曲あります。
フレーズごとに、曲の方向?を変えて、と言われたことがあったように思います。
全編を通して同じ吹き方ではなく、フレーズごとに雰囲気や奏法に変化を持たせるということかな?
「よくわかる音楽用語のはなし」では、どんなことが書かれているでしょう。


「ねぇ、何飲む?」「コーヒーにしようかな? ジュースにしようかな? それともココアかな、やっぱりジュース、あーダメだ やっぱり・・・」
こんなお友だち、皆さんのまわりにはいませんか?
このような状態のことをイタリア語では、カプリッチョーソといいます。
意味はそのものズバリで「気まぐれに、気ままに」で、気分がすぐに変わることを意味します。
また、デパートなどで「ママ、あれ買って、ねぇーってば、いいでしょ!!」と駄々をこねる子どもがいますが、そういう子のことを“カプリッチョーソな子”といいます。

いずれもあまり良い意味では使われませんね。
カプリッチョーソの名詞形はカプリッチョ capriccio
“少し変わったことをすること”を意味します。

たとえば髪を緑色にそめたりするのもその一例でしょうか。また、前の例のようにどうしても絶対欲しいものを無理に要求するような場合にも使われます。
その一方で、カプリッチョには <奇抜な> <奇想天外な> <規則にとらわれない> <予想外の> といった肯定的な意味合いも含まれています。

これがいったん音楽の表現になると一転、「規則にとらわれないカプリッチョな転調」「カプリッチョーソな強弱」など、きわめてファンタスティックなひらめきを感じさせる表現方法になるのです。
オーケストラの曲でも日本語で「奇想曲」という名前の付いている作品がありますが、これもカプリッチョ、カプリッチョーソの曲という意味です。

カプリッチョーソな表現は音楽に変化をつけ、躍動感を生み出します。
そこにはファンタジーが生れ、多彩な演奏表現の世界が生れます。
いい加減に気ままに、気の向くままに演奏するという雰囲気ではなく、もっといい意味での変化を意味しているのです。
ハッとさせるような響き、音色の変化、表情の変化がめまぐるしく自由に展開される、それがカプリッチョーソです。


 「これで納得! よくわかる音楽用語のはなし―イタリアの日常会話から学ぶ」
     関 孝弘, ラーゴ・マリアンジェラ (全音楽譜出版社)  からの抜粋、要約


 

tomo

音楽用語(表情) (4) Grazioso

Grazioso 優美に

グラツィオーソな表情を持つ、理想の女性が一人だけいるそうです。
さて・・・


ヴェネーツィアに浮かぶ島、ブラーノ島はヴェネツィアン・レースで有名です。今はほとんどが観光客用に器械で簡単に編まれた偽物が売られていますが、手で編まれた本物はたいへん美しく、手工芸品というより、芸術作品です。まさにグラツィオーソな刺繍といえる美しさを持っているのです。
我が家に一つくらいぜひ・・・と思うのですが、本物は値段も目が飛び出るほど高価です。
それだけの時間と労力がかかっていますから仕方がありませんね。

ブラーノ島より更に有名なのがムラーノ島。ヴェネツィアン・グラスでよく知られた島ですね。
そのヴェネツィアン・グラスにもグラツィオーソの極地をきわめた作品がたくさん見られます。
こんな
<優美><上品><洗練> を表現する言葉がグラツィオーソです。
したがって、音にもその美しさと愛情が深く注がれなければいけません。決して粗野にならず、ていねいに美しい柔らかさを持つ音を心から紡ぎだすことが大切です。
デリケートな華奢な表情ですから、テンポだってそう速くはならないでしょう。
柔らかく、軽やかに、優しく愛撫するような雰囲気に包まれなくてはいけません。

グラツィオーソの語源は、ラテン語のグラーティアムです。これはグラートゥス「好きな、好みに合う」「感謝」「喜び」「ありがたさ」「慈悲」「寛大さ」という言葉から派生しました。
また名詞形グラーツィアには「許し」という要素も含まれます。

このようにグラツィオーソは最高に美しい状態を表しています。
優しく、上品で、慈悲深く、寛大で、洗練されて・・・こんな表情を完璧に持つ人などいないと思いますが、ただ一人、理想の女性が存在します。
聖母マリアです。彼女の姿こそ、グラツィオーソの理想的な表情なのです。

またグラーツィアという言葉はイタリアでは人名によく使われています。イタリアにはマリアさんも多いですが、グラーツィアさんもたくさんいるのですよ。

  「これで納得! よくわかる音楽用語のはなし―イタリアの日常会話から学ぶ」
     関 孝弘, ラーゴ・マリアンジェラ (全音楽譜出版社)  からの抜粋、要約


 

(tomo)

音楽用語(表情) (3) Vivace/Vivo

ヴィヴァーチェ/ヴィーヴォも速さに関する用語として取り扱われることが多いかもしれません。
ただ、「活発に、急速な」と書いてあるものが多く、表情として捉えている方もたくさんおられると思います。

イタリア人たちが一度しかない人生を、とにかく明るく楽しく幸せに生きているのは、皆さんもご存知のはず。
彼らは強い生命力にあふれ、生き生きと輝いて毎日を送っています。


ヴィヴァーチェとヴィーヴォという音楽用語は「生きる」という動詞ヴィーヴェレ vivere から生まれた形容詞です。
ですから
「生きている・・・」「生活する・・・」「活力ある・・・」「生き生きとした・・・」 など、生命力に関係した表情を意味しています。


ヴィヴァーチェという言葉は子どもにかかわる形容詞としてよく使われます。これは子どもという存在が<生命力> の代名詞だからなのでしょう。イタリアの子どもたちは大変元気で明るく、少しもじっとしていません。
子どもが2~3人遊びに来ようものなら家中ひっくり返ってしまいます。もう内心ムカムカし、切れそうになることもありますが、その子たちの親には「お宅のお子さんはヴィヴァーチェでね・・・」と皮肉を言うのがせいぜいで、本音の「うるさいゾ、静かにしろ!」とはなかなか言えないものです。

ヴィヴァーチェは速さを表す言葉ではありません。生命力あふれた活発な輝きを表すのですから、演奏をする際には動きのある生き生きとした表情であることが何より大切であり、それが速いテンポ感につながっていく、ということをイメージしてください。

「これで納得! よくわかる音楽用語のはなし―イタリアの日常会話から学ぶ」
  関 孝弘, ラーゴ・マリアンジェラ (全音楽譜出版社)からの抜粋、要約


 

tomo

音楽用語について (1)

楽譜を見るたびに出会う音楽用語ですが、そのほとんどがイタリア語です。

ただ、1700年代の初めまで、楽譜にはただ音符が並び、バッハとかバロック時代の譜面には音楽用語はなく、音楽用語が登場するのは18世紀中期以降、ようやくモーツァルト当たりの時代になってからだそうです。

現在でも音楽用語のほとんどがイタリア語である理由は、それらの用語が登場した時代はイタリアがヨーロッパの文化全般にわたる中心的存在だったからで、この時期に印刷技術も進んで、楽譜が世の中に出回るようになったということです。

さて、いまはほとんどの譜面でみる音楽用語も、辞典などに載っているのと元々のイタリア語では意味が違うという話をずいぶん前から聞いたことがありましたが、10年ほど前に下の本を見つけて、ときどき読んでいます。

「これで納得!よくわかる音楽用語のはなし―イタリアの日常会話から学ぶ」
 関 孝弘、ラーゴ・マリアンジェラ (お2人はご夫婦です) 全音楽譜出版社


               音楽用語辞書


本を買った当初はぱらぱらと読みたいところを読んで、「ふーん」と納得したりしていたのですが、いまでもリコーダーを吹くときに楽譜の初めに書かれている速さや表情を表す文字や記号をみて、例えば Largo と Adagio がどう違うのかとか、もひとつピンと来ず、戸惑うこともあります。

そこで、この本からよく見る用語をひろって、抜粋、要約を書いてここに載せておけば、自分でも読み返しやすいかなと思い、シリーズものとして書いてみようと思います。

本の構成にしたがって、おおまかに、次のようなくくりを考えていますが、取り上げる順はランダムになると思います。

(1) 速度について
    Allegro/Presto
    Largo/Adagio
    Andante/Moderato など
(2) 表情について
    Vivace、Grave、Grazioso など
(3) 奏法について
    Fermata、Legato、Marcato、Portamento など
(4) 音量について
    Crescendo/Decrescendo、Diminuendo、Sforzato など


 

(tomo)
           
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